結婚適齢期症候群

本当に贅沢だ。

ショウヘイとタクシーで帰る生活。

私も半分払うって言ったけど、タクシー代は全てショウヘイが持ってくれていた。

松葉杖の生活にも慣れてきたのか、歩くのも、急ぐのも、階段の上り下りも随分スムーズにいくようになった。

部屋に着くとショウヘイが言った。

「随分慣れてきたし、来週にはタクシー使わなくてもなんとか行けそうだ。」

「ラッシュ時でも大丈夫?」

「ラッシュ外して早めに行くよ。」

「そうね。それがいいわ。」

冷蔵庫を見ると、昨日買っておいた鶏肉があった。

「から揚げでも作ろうかな。」

「いいね。」

ネクタイを外しているショウヘイが珍しく同意した。

あとは、トマト切って、お味噌汁。

ショウヘイにはきっといつも少し物足りないメニューだろうけど許してもらおう。

でも、どんな料理を作っても、いつもおいしいと言って完食してくれた。

作った料理に文句を言う男性も多いって聞くけど、それはショウヘイの優しさかもしれない。

「先シャワー浴びてくる。」

ショウヘイは脱衣所に向かっていた。

「着がえ、忘れないでね。」

「持ったって。」

ショウヘイはかすかに笑った。

今日は一日、すごく疲れた顔をしていたショウヘイ。

部長から朝言われたことがずっと尾を引いてる感じだったけど、私もそこは触れられずにいた。

浴室でシャワーの音が響いたのを確認して、油に点火した。

母に教わったから揚げ。

下味にニンニクとショウガを揉み込む。

それだけでお店で食べる味になる。

ニンニクは元気の源だもんね。疲れてるショウヘイには丁度いい。

朝しかけておいたご飯が炊ける音がする。

まるで新婚みたいな生活。

本当にショウヘイとそんな日が来たらどんなに幸せだろう。

炊けたご飯をかき混ぜた。