結婚適齢期症候群

開くとトモエからだった。

そういえば、こないだあってからライン打った返事もなかったよな。

別れ際の浮かない表情がずっとひっかかっていた。

ひょっとしたら、話が長くなるかもしれない。

先にショウヘイの晩御飯を作ることにした。

「ごめん、ちゃっちゃっと作っちゃうね。」

ソファーにもたれてテレビを観ているショウヘイに声をかけるとキッチンに急いで向かった。

「・・・悪いな。」

ぼそっとショウヘイの声が背後から聞こえる。

あれだけ失言するくせに、意外と気を遣ってくれる。

そんなところが今はかわいいと思えた。

ショウヘイのキッチンに立って料理を作るなんて、オーストリアで出会った時は思いもしなかった。

たった1ヵ月半ほどでこんなにも自分の感情って変わるものなのかとあらためて驚く。

恋の力ってすごい。

30過ぎても、10代みたいな恋をしてる。

恋は年齢関係ないんだわ。

ポークチャップをお皿に盛っていたところに、丁度ご飯が炊けた。

「お待たせ。」

ショウヘイの前にポークチャップとご飯を置いた。

「お。お前、なかなかやるな。お嫁さん候補としてはポイント高いんじゃないの?」

ショウヘイはさらっと言った。

お嫁さん候補。

一瞬ドキンとする。

まさかショウヘイのお嫁さん候補ってことじゃないよね。

自分の発言でこんなにも私が動揺してるだなんて思いもしない顔で、ショウヘイはポークチャップにかぶりついた。

ふぅ。

なんだかねぇ。

「おいしいよ。」

ショウヘイは少年のように嬉しそうに食べた。

ま、いっか。

「ちょっと友達から電話かかってたから、先食べててね。」

「ああ。もう食べてる。」

私はそんなことを無表情で言うショウヘイに笑った。

スマホを片手に奥の部屋に急いだ。

トモエからの電話が、気になる。

さっき電話があってから既に30分経過していた。