彼はうつむいてる私に向かって笑いながら言った。

「安心しなよ。俺、お前みたいな女に全く興味ないから。指一本触れることはないよ。」

なっ!

言い返そうとして、彼の目をにらみつけるも、何を言い返すのかわからなくなって黙った。

だって、安心して泊まれるってことでしょ?

そりゃ、私にとっちゃありがたいことだけど。

だけどさ、私には全く興味ないなんて、女を馬鹿にするにもほどがあるってのよ!

しかも私は振られたばっかなのよ!それでなくても自信喪失気味なんだって。

ここは、せいぜい、あんたを利用させてもらうわよ。

奥歯をぐっと噛みしめた。

「じゃ、お言葉に甘えて。興味のない女で申し訳ないですけど、お部屋お借りします。お金が出てきたらきっちりお部屋代払わせてもらうんで。」

彼はふふんと笑ってスマホをズボンのポケットに突っ込んだ。

「んじゃ、とりあえずホテルに荷物置きに行こうか。」

そう言うと、スーツケースを転がしながらホテルに向かって歩き出した。

時刻はもう夕方の6時。

歩きながらお腹がぐーっと鳴った。

ああ、情けない。自分ってかなり不様だと思う。これじゃ興味がないと言われてもしょうがない。

奴がその音を聞いてくすっと笑う。

「ホテルに荷物預けたら食べに行こう。今日は俺がご馳走するよ。わずかな所持金、大事に使わないといけないだろ。」

優しいのか、究極の嫌味なのか、わからないことを言われる。