「ふふふ♪ それにしてもよく降るねえ、見事に一面が雪景色になっちゃった。こんなに雪が降るなんて何年振りだろう? まあでも、こうして碧羽と愛合傘も出来るし、雪に感謝しなくちゃね」

 初っ端より煩悩むき出しで寝言をカマすのは、イケメン双子の片割れ、兄である『椿木 凛(つばき りん)』だ。

 母方の祖父がフランス人である彼の容姿は、誠やんごとなき見目麗しいイケメンだが、その実腹のなかは黒ずんでいる。しかも『相合傘』を『愛合傘』とモジるあたりに、厚かましさが窺えた。

「ああ゛ッ? なに言ってんだ、てめえ。寝言は寝て言え、悪魔野郎! つかなに当然のように碧羽ひとり占めしてだ、ばか野郎。てめえのコウモリ傘なんざ、お呼びじゃねんだよ」

 対して二番煎じより凛に対抗心を燃やすのは、凛の双子の弟である『椿木 漸(つばき ぜん)』。一卵性双生児である彼らは、鏡に映したようにそっくりではあるが、とこしえに相容れぬ大きな違いがひとつある。

 それは即ち『性格』だ。勿体ぶるなとお叱りを受けようと、これだけは説明せねばなるまいて。彼らのチャームポイント、つまりムカつく魅力に大きな違いがあるのだ。