イケメン双子と、もちろん『腐』の付く愛され女子と。


 凛は黒天に目を流すと、感心するかのように彼を扱き下ろした。

 仮にも神の御前であるにもかかわらず、神に悪態をつくなどさすがは凛といったところか。これには黒天の目尻はつり上がり、顔を真っ赤に染めて咆哮する。

「ンだと、てめえ!! もっかい言ってみろ。ならその落ちこぼれの力を、たっぷりと味わわせてやろうじゃねえか」

 耳をピンと立て、牙を剥いて今にも凛へと飛びかからんとする黒天を、白天がこれを窘める。

「やめなさい黒天、まずは落ち着くのです。そなたは直ぐに、そうして我を忘れるのが欠点なのです。この人間が言うことも、一理あるとは思いませぬか?

我々は崇高なる神の眷属です。生を終え昇華された後、そなたは神より何を学んだのです。むやみやたらと力を行使してはならぬと、そうは教わりませんでしたか。

無明に支配され、そうも心を乱すような者に、眷属である所以も神たる品格も、無きに等しいと肝に銘じなさい」

 さすがと言うか狐と言うか、白天の言葉には重みがあった。窘められた黒天はというと、今は耳をうなだれたショボくれ狐として、肩身狭くして猛省するのであった。

 黒天とて、神に選ばれ眷属となった身。同じ眷属に理屈を述べられては、心を入れ替えるしかない。