「てめえが神を冒涜なぞするからだ。崇高なる者を侮辱した、神の鉄槌だと思え」
「……神? 神って言った?…………しかし暗いよね、自分が何処にいるのかも分かんないや。早く帰って碧羽とイチャイチャ――」
「だから話聞けよ! つか綺麗に俺の言葉をスルーしてんじゃねえよ!!」
見渡すかぎり晦冥(かいめい)が広がるなか、凛は謎の声と一度は対峙したものの、それを無かったことにしようとした。けれども自称『神』と名乗るヤバい声が、それを許さなかった。
「自称じゃねえッ!」
「落ち着きなさい黒天。そなたも神の端くれ、そのように声を荒げては、神の品位が損なわれてしまいます故……」
「おい、端くれってなんだよ、端くれって。俺が端くれなら白天、おまえだって端くれの仲間入りだぞ」
どうやら神と名乗る謎の声は、ひとつではなくふたつ――
「だから名乗ってんじゃなくて、俺らは『神』なんだって! それに謎の声じゃねえ、俺には『黒天(こくてん)』って立派な名前があんだ。よく覚えとけ!!」
――と、言うことらしい。
「あの……お取込み中のトコ悪いんだけど、僕そろそろお暇したいんだよね。そこで話割ったついでに、もうひとつお願いがあるんだけど……」

