碧羽がふたりの顔を交互に見て、「ほんとふたりとも仲良しだね」などと、やはり斜め思考な発言をする。そこへ透かさず凛が、言質を取ったと言わんばかりに、碧羽に帰りを促した。
「そうと決まれば碧羽、さっさとこんな場所から退散して、僕の部屋で仲良く温まろう♪」
「うん、帰って温まる。寝るまでトランプしようね」
「任せてよ、トランプでも何でもシてあげる♪」
一々凛の台詞は如何わしく聴こえるから困ったものだ。
「碧羽……こいつの言葉には気をつけろ。てか返事なんてすんな」
「やだなあ漸、それってヤキモチって言うんだよ。さあ碧羽、とっとと……――ッ!?」
漸の牽制に対し、すでに碧羽から言質を取った凛は、悠々と彼女の手を取り境内を後にしようと踵を返した。……までは良かったのだが、凍った敷石に足許を取られ、つるり滑ってしまった。
「やだ凛、大丈夫!?」
見事なまでに、凛は仰臥するように頭から倒れてしまった。突然のことに驚いた碧羽は、彼の許へとしゃがみ込んで、頭の下に手を添えた。
「だだ、大丈夫だよ……碧羽。ちょっと驚いたけどね……でも、なんか……――」
「凛!?」
「おい、凛! しっかりしろ!!」
バチが当たったのか、打ちどころが悪かったのか、凛はそのままブラックアウトしてしまった。

