傷に触れないよう、彼の腕に絆創膏を貼った。

「はい!できた!」

「ヨースケー!」

「おー!ちょっと待って!」

私の声と同時に聞こえてきた声に彼が反応した。

「これ、サンキューな!」


そう言って白い歯を見せて笑った。

「俺、佐野 陽亮(さの ようすけ)!」


「あ、私、アヤ。香取 綾。」

私も笑うと彼、陽亮くんはよろしく!と言いながら友達の方へ走って行った。


私はまだ話す人もいないから席に座り何となく、彼を追った。


すると廊下にいた彼とバッチリ目があった。

驚いて目を逸らしてしまった。

うわぁ…嫌な感じだよね、今の。

もう1度チラッと廊下を見るとまだ彼はこっちを見ていてニッコリ笑いかけてくれた。


その笑顔に私も笑顔を返す。

そしてすぐに窓の外を眺めた。


彼の笑顔は可愛くて少し苦手だと思った。


目を細くして白い歯を出してクシャッと笑う

私には出来ない笑顔だから。

「ねえ!」

声の方向に顔を向けると


「わぁ!!」


「なんだよー。そんな驚かなくてもいいじゃん!」


「ご、ごめん…。」


廊下に居たはずの彼が目の前に立っていた。


「ぼーっとしすぎ!もしかしてわざと!?」


「そ、そんなことないよ!」


「ちょっとヨウスケ!ちゃんと紹介してよ!」

泣き真似を始めた彼に困惑していると女の子が彼の肩を叩いた。