ほら。と千夏が指差す先には美波ちゃんの持つ紙をのぞき込む陽亮の姿。


ちくり、と胸が傷んだ。


「…2人って仲いいんだね。」


「そうだね、去年も同じクラスだったから」


「そっか…。」


私が知らない陽亮を美波ちゃんは知っているのかと思うとなんだか悲しくなって少し腹が立った。


相変わらず仲良く話す2人を見ていると横から千夏の熱い視線を感じた。


「どうしたの?」


「嫌だ?陽亮が美波と仲良くしてるの。」


ニヤニヤと口角を上げて私に聞いてきた。


「え!?いや、別に嫌…じゃ……。」


嫌じゃないよ。って、言えなかった。


モヤモヤした感情が胸につかえて声にならない。


「ふぅ〜ん。嫌なんだね」


「もう!やめてよからかうの!」


フンッと頬を膨らますと千夏はもっと笑った。


「はははっ!ごめんって!いやぁ、青春だねぇ」


千夏を放ったらかし目の前の仕事に集中する。


「いいじゃん綾!教えてよ」


千夏はよっぽど楽しいのか話を止めようとしない。

どうしようかと考えていると委員長が声を上げた。


「誰かビニールと絵の具取りに行ってくれないー?」