私には何もない。

誇れるものも、夢中になれるものも。


ただ、周りのみんなに合わせる事に必死だった。


置いていかれないように、ついて行くために。

毎日遅くまで遊んでフラフラ遊んで


顔色伺いながら合わせて笑って


自分を偽り続けるのはすごく疲れる。


けど、1人よりはずっとマシだから。


偽り続けたバチが当たったのかもしれない。


「綾?どうかした?」

千夏に声をかけられてハッとする。

つい考え込んじゃってた!


「ううん!何でもないよ!」


ニコッと笑ってまた会話に加わった。


陽亮と伊月は練習試合の時の話していた。


「それでな!こいつ、対戦相手の選手にブチ切れて!」


「そうそう!わざとレッドボール狙ってるでしょ!ってグラウンドに出てきてな!」


「俺らで必死に止めたんだよ」


「選手より先に乱闘起こすマネがいるか?普通!」


「ちょっと!その話はもういいじゃん!」


顔を赤くして怒ってる千夏はとても可愛い。


「さすが千夏だね!私も気をつけなきゃ。」


そう言って身震いして見せると綾まで!と更に怒られた。


なんか、楽しいな。


久しぶりに気を使わずにおしゃべり出来てるって感じがする。


3人で怒ってる千夏を見て笑ってた時またチャイムがなり始業式のため体育祭へ移動した。