飴のおかげで、英語の授業は幸せな気分。
辞典を借りることができ、先生にも怒られることもない。
はずだった・・・。
「塚本!ボーっとするな!」
幸せな気分に浸っているところを、先生に注意された。
「授業後、職員室に来るように!」
そのうえ、呼び出しまでされてしまった。

嘘~!
何であたしだけ・・・。
他にもボーっとしている人なんかたくさんいるじゃない!!

「こんなときには、これこれ」
そう言って飴を口に含む。

はあ、落ち着くなあ。


美桜の中で、飴は生活をするうえでの大事な必需品となっていた。


授業が終わると、職員室。

「失礼しまーす」
中に入り、先生を探す。
先生は机でパソコンに向かい、なにか仕事をしていた。

「あの・・先生」
遠慮がちに話しかける。
「おお!塚本。ちょうど良かった!」
「・・・・は?」
先生は嬉しそうに美桜の肩を叩く。

「今日のことは無しにしてやる代わりに、先生の頼みを聞いてくれるか?」
「う・・・はい」

出来れば聞きたくないです・・・。

頷きながらもそんなことを思っていた。


「実はな、図書室に行ってこの紙に書いてある本を探して持ってきてくれないか?」
渡された紙には約30冊の本の題名が記されている。
「え・・・一人で、ですか?」
嫌そうな顔してそう言うと、
「プリント30枚よりはマシだろう!」
先生は高らかに笑う。

え、これやらなかったら・・・プリント30枚?
・・それも嫌だな。


というわけで、本を探して運ぶ方を選んだ。

早く帰りたかったため、急いで図書室に向かう。


「あ、気合いを入れるために・・・」
美桜はまた飴を口に入れた。

よし!!


ガラッとドアを開けた途端、目に入るのはキスをしている男女の姿。

げっ・・・・。

美桜は思わずまたドアを閉めた。


どうしよう・・。
このままじゃ作業が出来ない!!