朝起きたら男の子のうなりは消えていて意識もハッキリしていた

彼は私に首をコックと傾げていた

彼なりの挨拶だったんだろう

彼は酸素マスクをしていたから話す事ができないみたいだったから

彼のベッドの上に名前が書いてあった

「上条 空翔 16歳」

私は彼に
「あなたは上条空翔と言うの?」
と聞いた

彼は静かにうなずいた

「上条くんよろしくね
私は水瀬麗奈あなたと同じ16歳よ」
と言った

彼は驚いていた

まあ同い年だとは思わないよね

私、まあまあ大人っぽいって言われるから

それから私のいつもの日常が変わっていった

また朝がきた

彼は、酸素マスクが取れて、自由に話をするようになった

彼は社交的で私の名前も覚えていてくれた

私は読書が好きだからよく本を読んでいた

「あなたは水瀬麗奈さんでしょ
本好きなんだね」

「ええ…まぁー好きね。本を読んでいる間は現実から目を背ける事が出来るから」

「ふぅーんそうなんだ!俺、あんまり本とか読まないかなだって一文読んだだけで眠くなっちゃう」

「プッハハハ何でよあなた面白いわねww」

久しぶりに笑った

いつもひとりだったから

いつも自分と話してくれる人もいなかったから

その日はなんだかいつもより楽しかった

それから毎日毎日彼は私に話かけてくれた

そんな時私は

「あなたはなんの病気なの?」

「俺は、心臓の病気だよ
麗奈ちゃんは?」

「私はがんよ」

「がんって…大人がなるんじゃないの?」

「うん本当はね。でも子供でも出来るがんもあるのよ」

「そうなんだ
早く治るといいね!」

「……うん
あなたこそ治るといいわね」

私の病気は治らないのよ

という言葉は飲み込んだ