「行ってらっしゃい陽菜。お母さんもお父さんと一緒に後から行くからね。気を付けて行くのよ?」


玄関で心配そうに喋るこの人は私のお母さん。44歳にも関わらず、とても若く見えるのは、小さく色白な顔、大きな目、ピンクのふっくらした唇で、とても綺麗だから。


今日から私は高校生になる。中学生のとき、ある出来事があってから私は声を出せなくなってしまった。


声を失った今、これから始まる新しい生活が怖くないって言ったら嘘になる。


でも、高校生活は楽しみたいし、もう周りに心配は掛けたくないから、頑張るって決めたの!


分かったよっていう意味を込めて笑顔で頷くと、お母さんも笑顔で

「頑張るのよ!」

って。


私は今日から始まる高校生活に新たな希望を持って玄関を開けた。