何をしてもいいというわけではないけれど、度が過ぎないのであれば大体のことは容認される。


学校にペットを連れてくるのも、たぶんOKだろう……たぶん。



トラ子さんは私たちが中庭に来ると必ずと言っていいほどやって来るから、野良じゃないんだろうなとは思ってたけど。


さすがは、桐生院高校。



毛並みの整ったトラ子さんの背中をそっと撫でると、トラ子さんが鼻をフンッと鳴らす。


撫で方にダメ出しされたようだ。



「遠子先輩」


「なに?」


「あの人たちとは、会ってないですよね」



“あの人たち”



やけに冷たさの含まれた響きだ。



「……うん。会ってないよ」


「もし、俺のいない時に遭遇するようなことがあったら、すぐに逃げてくださいね。それができないような状況に陥ったら、俺を呼んでください。絶対ですよ」


「うん、分かった」



私は素直に頷く。




その数分後に、まさか彼らと対峙することになるとはつゆ知らず―――…。