それから、2時間。




どうしたらいいのか分からずに、処置室の前のソファに座って、下を向いていた。



「あの…」


「…はい」





視線を上げると、大毅のお母さんが
目を真っ赤にして立っていた。



「大毅の母です。えっと…。大毅とお付き合いしていただいてる方ですか」


「…はい…。白鷺ひよりと申します…」


「ひよりさん。ひよりさんは大毅の病気のこと、大毅から聞いてますか…」


「い、いえ…」




病気?なんのこと…。
私は大毅の病気なんて知らない。





「大毅は脳腫瘍なの。さっき先生から。…ううん。なんにもないわ。ひよりさん。これから、大毅と一緒にいるとあなたは辛いおもいをする。今のうちに…」


「…」




「風村さん。息子さんの意識が戻りました」



「っはい。それじゃぁ、ひよりさん…」


「はい…」





大毅が心配だから大毅のところに行きたい。





でも…。
大毅に会ってどんな顔をすればいいの?
どんな話をすればいいの?