どうしたらいいかわからずに、目をうるうるさせていた私を見たゆづくんは、
呆れた様子で大きくため息をついた。
「……とりあえず、てめえ今日から俺から離れんなよ」
そして、まとめるように最後にそう声をかけてきたのだった。
これには私も自信を持って答えられる!
「ハイ!!」
それはもちろんですとも!!
何せこんなパーフェクトマッスルの近くにいられるのだから!!!
観察し放題、描き放題なのだからー!!!
まさにパーフェクトマッスルパラダイスタイム!!
略してパーラダイスタイム!!!!
「よろしくお願いします!!」
気合いたっぷりで勢いよくゆづくんに向かって頭を下げる私。
そしてもう一度顔を上げた時に、まっさきに見えたゆづくんの表情は。
一瞬目をぱちぱちさせてぽかんとしたものであったが。
「……っと、面白ェ女」
口元に手の甲を当てて、ボソリとそうつぶやいてにやりと笑った。
―――きゅんっ
「……んん??」
きゅん??
「んだよ、どうした」
不思議に思った私は自分の心臓の位置に手をそっと当てた。
そんな私の行動を見たゆづくんは、先程のいたずらっ子のような笑みではなく、まためんどくさいものを見るような表情に変わってしまっていた。
そんなゆづくんに、私は今起こったことを正直に答える。
「あ、いや……今心臓が『きゅん』って鳴った気がして…」
「あ?」
「ぶっ!!」
私の言葉を聞いたゆづくんは目を丸くし、岡本さんは噴き出した。



