「…………?」


視線を…感じた。


ひよりでも、他のクラスの生徒でもない。

というより、注目していたのは最初だけで、いまではすっかり私たちには興味がなくなった様子だ。

いつもどうりの教室の雰囲気に戻ってしまっている。


「………あ」


感じる視線をおった先にいたのは。



……黒髪の、イケメン。

クラスの王子様的存在。

自らが座っている席は女子に囲まれつつも、その女子達の間から私をじっと見つめていた。


「…ゆ、うちゃん……?」


なんで?

なんでゆうちゃん、あんなにじっと私を見てるんだろう?

あんなに可愛い子達に囲まれながら、なんで……?


『じゃあ俺のこと好きになって?』

『梓ちゃんのこと、結構前から好き…だったんだよね』

『梓ちゃんのこと、誰より好きなのは変わんないと思うから』



「~…っ!?」


ゆうちゃんの声、表情、夕日、雰囲気。

昨日の出来事すべてが、一気に頭の中で蘇る。


あまりの恥ずかしさから、ボボボッと顔が熱くなった。


そ、そうだ私……

ゆづくんの筋肉のことで頭がいっぱいになってて……。


クラスの王子様から告白されてたこと、すっかり忘れてたんだ……!!!