岡本さんの視線が、ゆづくんから私へと戻される。


「え、と……マジ……?」

「…………」


ゆづくんに腰を抱かれていることで停止していた思考を戻そうと、必死にさっきの屋上でのことを思い出す。


ゆづくんはというと、『余計なこと言うなよカス』とでも言いたげな表情で私を睨んでいた。


「………」


『離れんな』

ゆづくんからそう言われて

『ハイ!!』

私が、ゆづくんへそう返事をしたことは

……紛れもない事実だ。


「ま、マジ……です」


岡本さんに向かって、こくりと頷きながら若干震える声で答えた。


し、しかしながら、私は今、それでころではなく、とてつもない幸せを感じている!!


だだだだって、他でもないゆづくんの素晴らしい筋肉に腰を抱かれているのだから!!


ここで私はやっといつもの調子を取り戻した。
さすがはゆづくんのパーフェクトマッスルだ。


「…え、へへ……」

「!?」


パーフェクトマッスルに身を包まれていることが幸せすぎて、思わずにやけてしまったとき。

ゆづくんは驚いたように、バッと勢いよく私を離した。


「何笑ってんだ気持ち悪ィ!!」

「きも……っ!?」


ひどい!!

きもいと言われたことよりも、パーフェクトマッスルが私から離れてしまったことにショックを受け、じわわっと涙が溢れそうになったときだった。