「ひ、秘密です…」


肘鉄によってダメージを受けたお腹を両手でおさえ、ケホケホしながら岡本さんへそう答えると。

岡本さんはにへらっと口角を上げ、嫌な笑みを浮かべた。


「秘密て!! めちゃめちゃ怪しい!!」


お前らどんな関係だよーっと冷やかしてくる岡本さんへ、ゆづくんがくわっと牙を向けた。


「うっせえ!! 秘密は秘密だ!!」

「そうです秘密は秘密で……っ!?」


私も、そんなゆづくんに続いて秘密だと言い放とうとしたとき。

力強く、ゆづくんにぐっと引き寄せられた。


「……っ!?」


ゆづくんに。

ゆづくんの、マッスルに。


「今日からこいつ、俺にくっつくことになったから」


私が、ゆづくんの体にもたれかかるようにし、そんな私の腰あたりを抑えてくるゆづくん。

……何が起こったかわからなくて声も出なかった。


「……は?」


そんな私たちの様子を見て、ぽかんと口を開けたまま固まる岡本さん。


「ゆ、ゆづ…? 頭でも打ったのか?」


そして岡本さんは、ふるふると震える手を自分の口元へ持っていき、まん丸く開けた目でゆづくんを心配そうに見つめてそう聞いた。


「打ってねえ、本気だ」


しかしゆづくんは、岡本さんのその質問に対して真面目な表情でそう言い放ったのだった。