ゆづくんは私がゆづくんの秘密を誰にも言わせないため。

私はゆづくんの筋肉観察し放題、描き放題のため。

お互いの利害が見事に一致した私たちは、今日から一緒に行動することになりました。


屋上を出て、教室に向かって廊下を歩く。

私は、それはもうるんるん気分で、前を歩くゆづくんの後ろをついて行った。

今日から心置きなくゆづくんの筋肉を観察することができる。

スキップだってしちゃうくらいには嬉しかった。

あんなにも愛しかったゆづくんのパーフェクトマッスル。


「うへへへえ……」

「キモい」

「いたあっ!!」


ゆづくんからキレのいいチョップを食らう私。

ああ、ゆづくんの筋肉にチョップくらっちゃった……!!(末期)


そうこうしているうちに教室に着くやいなや、ゆづくんが足で強引にドアを開ける。

私たちへと向けられた視線の中から、聞き慣れた声がきこえてきた。


「おお!! 帰ってきた!!」

「!?」


ゆづくんとよく一緒にいる友達さんだった。

どうりで聞き覚えのある声だと思った。

友達さんは、にこにこと笑いながら私たちの元へ勢いよく近づいてくる。


「あのゆづが女連れて教室出るからびびったぜ!!
おい、一体何話してたんだよ?」


友達さんは、慣れたようにゆづくんの肩に腕をまわした。

しかしゆづくんは、心底嫌そうな表情を浮かべている。


「あ?てめえに関係ねえだろカス」

「そーいう冷たいこと言っちゃだめだよゆづ~」


のんのん、と、人差し指を左右に軽く振った友達さん。