そうだよ。
あのゆづくんが素直に『教えてくれ』なんて言うわけない……。
「じゃあこれからゆづんちで勉強会しようぜ!!」
「はあ!?」
「え、ゆゆゆゆづくんち!?」
岡本さんの提案に、私は目を輝かせ、ゆづくんは心底嫌そうにそれぞれ反応する。
てか、聞き間違いじゃないよね。
ゆづくんちって言ったよね!?
うわ、めっちゃ行きたい!!!!
きっとトレーニングマシーンとかいっぱいあるんだろうなああっ……!!!
行ったこともないゆづくんのお家の中を、勝手に想像してだらりとよだれを垂らしながら、なおも想像し続ける私。
「待てよ秋!! なんで俺ん家だ!!? あ!?」
しかし、ただ一人この状況にひたすら納得していないゆづくんは、岡本さんの胸ぐらをつかんでそう言えば。
岡本さんは慣れたように両手をひらりと挙げて理由を述べる。
「この時期どこの図書館も混んでるし、お前んち親いねーし、広いし、ちょうどいいだろ」
「だからって俺は教えてもらうなんて一言も…!!」
「行きたい!!デス!!」
二人の会話に割って入る私。
ここは!!
なんとしても!!
ゆづくん家に行きたい私なのであります!!!
ここは数の勢力で押さえ込みにいきましょう! 岡本さん!!
「てめえふざけんなメガネ!!」
「譲りません!!!!」
「あああ!?」
しかし、ゆづくんはやはりしぶとくて。
それからしばらくの言い合いが続きました……。



