帰り支度を整え、ひよりと一緒にゆづくんの席へ向かう私。


「ゆづくん…どうしたの?」

「うるせえ近寄るなメガネ」

「!?」


チカヨルナ……!?


「そんな!! もしかして私またなにかやらかした!?

ねえなんとか言ってよゆづくん!!!」


「くたばれカス」

「くたばらない!」

「やぁめぇろぉ」

「ちょ、あずやめなよ」


嫌われた……というか、近寄るなと言われた理由が知りたくて、ゆづくんの肩を揺さぶる。

それを見たひよりが、やめなよーと私の腕に手を置いて静止に入ってきた、その時。


「大丈夫だよあずちゃん」


くすくす笑いながら、いつの間にか私の隣にいた岡本さんが、私のことを『あずちゃん』と呼んだ。

……いつからあなた様とそんなに仲良くなっただろうかと一瞬考えたが、まあよかろう。

そんなことは今大きな問題ではない!!

問題はただひとつ!!

ゆづくんが私に『近寄るな』と言った件について、だ!!


「あー、ゆづでしょ?」


私の、ゆづくんへの熱い視線を感じ取った岡本さん。

どうやら、ゆづくんがこうなってしまった原因を知っているようだ。

私は、その理由を早く話せと言わんばかりに岡本さんを見る。


「あんねー、こいつね、ただでさえバカなのにテストあるの忘れてたっぽい」

「え!?」


ゆ、ゆづくん……!?

私も忘れてたけど、ゆづくんも忘れてたなんて……。

というか私は毎日やってるからそんなに焦ってはいないけど、ゆづくんは……申し訳ないけど毎日コツコツ勉強しているようには見えない。

だ……大丈夫なのだろうか。



「てめえ秋…お前ベンキョーとかしてねえだろうな…!!」


ゴゴゴゴ……ッと、あの荒々しい雰囲気で岡本さんを睨むゆづくん。

対する岡本さんは、片目をバッチンと閉じて笑って答えた。


「もち、してるわけない諦めてる☆」

「えええっ」