「始めまして、私は前原亜由(マエハラアユ)。よろしくね。」

笑顔でそう言った彼女は木下君に握手を求め、驚いた木下君もおずおずと手を差しのべた。

そう、話しかけた彼女、前原亜由こそが、私が無視されている元凶

腰あたりまで伸びたさらっさらの黒髪ロングが印象的

少しつり上がったきれいな二重の目と整った鼻筋、ぷるぷるな唇に透き通るような白い肌を持つまさに完璧な美少女

しかし中身は全く美少女なんかじゃない

これまで彼女の指示でたくさんの人達いじめにあってきた

その為、みんなは亜由のターゲットにされないよういつも細心の注意をはらって生活している

そんな亜由が何で木下君に…?

「さっそくだけど、今から大事な話をするから、しっかり聞いててね」

大事な話?

「それは、君の隣の席に座ってる木村結羽香ってやつについてでね、私たち、今あいつを無視してるの。だから、これからは結羽香に話しかけないでほしいんだよね」

そう言いながら亜由が横目で私を見てくる

「え…そうだったの…」

木下君は話を聞いてびっくりしているらしい

「うん、そうだよっ。で、先生の指示以外で結羽香に話しかけちゃった人は無視されるっていうルールなの」

「……………」

「だけど、それを知らなかった木下君は結羽香に話しかけちゃったから昨日は誰も話しかけてくれなかったの」

「…そうだったんだ」

木下君が複雑そうな表情で答えた。