朝の教室というのは、結構騒がしい。
二組もやっぱり賑やかで、お喋りの声が飛び交っていた。
サエとカンナはそんな教室を見渡して――小さく、「あっ」と声を上げて、一人の男の子を指差した。
「いたよ、北村。本読んでるね」
「……店員さん!」
二人が示す先にいたのは、くるくる髪に眼鏡の男の子――間違いなく、昨日の店員さんだ。
「やっぱり北村だったんだ」
「うん、あの人だよ!」
こんなに近くにいた人だとは思わなかった……。
店員さん改め北村くんは、ぱっと見た感じだと、本当に大人しそう。
後ろから二番目、窓側の特等席で、本屋さんのカバーをかけた文庫本に熱心に視線をそそいでいる。
うつむき気味だし、眼鏡だし、あんまり顔はよく見えない。
ただ、はしゃぐクラスメイト達を気にしないようにつんと澄ましているところが、少し大人っぽいと思った。
それからしばらく、まじまじと北村くんを観察していたけれど、予鈴の音が学校中に鳴り響いたあたりであたし達はその場を去った。
北村くんはチャイムが鳴ってもただじっと本を読んでいて、なんとなくその姿が印象的だった。
二組もやっぱり賑やかで、お喋りの声が飛び交っていた。
サエとカンナはそんな教室を見渡して――小さく、「あっ」と声を上げて、一人の男の子を指差した。
「いたよ、北村。本読んでるね」
「……店員さん!」
二人が示す先にいたのは、くるくる髪に眼鏡の男の子――間違いなく、昨日の店員さんだ。
「やっぱり北村だったんだ」
「うん、あの人だよ!」
こんなに近くにいた人だとは思わなかった……。
店員さん改め北村くんは、ぱっと見た感じだと、本当に大人しそう。
後ろから二番目、窓側の特等席で、本屋さんのカバーをかけた文庫本に熱心に視線をそそいでいる。
うつむき気味だし、眼鏡だし、あんまり顔はよく見えない。
ただ、はしゃぐクラスメイト達を気にしないようにつんと澄ましているところが、少し大人っぽいと思った。
それからしばらく、まじまじと北村くんを観察していたけれど、予鈴の音が学校中に鳴り響いたあたりであたし達はその場を去った。
北村くんはチャイムが鳴ってもただじっと本を読んでいて、なんとなくその姿が印象的だった。
