あたしとカンナが在席する四組の教室の前まで行くと、サエがいた。あたし達を見つけると手を振りながら近づいてくる。ちなみにサエも四組だ。



「おはよ〜」

「おはよ、サエ」

「サエ! 昨日お兄ちゃんに色々言ったでしょ〜!」



サエはあたしの言葉をひらりとかわすように笑った。



「バレたかあ。だって心配だったんだもん! それにミキのお兄さん、門限とか厳しいでしょ? だからちゃんと理由があったんです〜て教えないと、あたし達まで怒られちゃうもん」

「それは……」

「そうじゃなくても、心配じゃん? 今のミキ、かなりぼーっとしてるし」



そんなことを言われてしまうと、何も返せない……。



「それよりさあ、ホームルームの前に二組覗いてみない?」

「二組?」



あたしはサエの言葉に首を傾げた。



「ああ、北村がいるから?」



カンナの出した名前にハッとした。



「……昨日の店員さん!」

「そうそう、北村だったか確認くらいはしてもいいでしょ〜?」



確かに、確認はしたいかも……。

もし本当にその北村くんが昨日の店員さんなら、ちゃんとお礼を言いたいし。



「よし、決まり♪ じゃあ早速レッツゴー♪」



あたしはサエに背中を押されながら、二つ隣の二組へ向かった。