ちゃんと話したはずだよ。




だけど、私はそれをしなかった。
その時の私はきっと、翔には話したくなかったんだよ。






『千葉君、、

私はなにも、できないよ…』






ごめんね、こんな無力な私を許して。






何も出来ない私を…





『ごめんねっ…』






どうか、忘れさせてください。
この想いも、思い出も…







「葉月はどうして、俺のことをそんな名前で呼ぶんだよ。

そんなの、悲しいじゃん?
前みたいに、翔って呼べよ、」





呼べないよ…




呼んでしまったらきっと、後戻り出来なくなってしまうから。





名前を呼ばないことで、壁を作って他人のフリをしてきた私は、




そう簡単に翔、なんて呼べるわけがないんだ。




最初から近づいてはダメだったのに。





『前ってなんのこと?』




お願い、もし私が昔の気持ちに戻ってしまったら…




翔と一緒に過ごすことも出来なくなってしまうから。