写させてもらっている間、神宮寺くんの視線が気になり顔を上げると、『あ、ごめん』と言って神宮寺くんは視線を逸らせた。


写させてもらったことや待ってもらっていたことが申し訳なくなり、私はノートを半分持って行くことにした。


『ノートありがと』


『おう。…吉木って字綺麗だよな』

『え?』


『いや、確かに吉木はいろいろと遅いけどさ、その分さ丁寧だよ』


『……』


『長所だと思うよ。俺は』


そう言ってくれた神宮寺くんの笑顔は、すごく眩しかった。



それから一年、一緒にご飯を食べる友達ができて、翼くんに告白をされて彼氏ができて、私は居場所を見つけることができていた。


そんな居場所を、私は失いたくなかった。