駅員さんも待ち続ける私を気にしているようで、何度も視線が向けられていた。


何度も場所を変えようと考えたが、雨が止まないことや、連絡もとれないまま場所を移動すると擦れ違いになってしまうのではないかと思い、動くことができなかった。


涙が込み上げてくる。


それでも泣くわけにはいかず、涙を止めるために顔を上げた。


すると、道路の奥のバス停に、翼くんの姿が見えた。


「…翼くん」


荷物を抱え、走って翼くんの元へと向かった。


もう雨など関係なかった。


「翼くん、翼く…」


後少しと言う所で足が止まる。


翼くんだと思っていた人は翼くんではなく、良く見れば全くの別人だった。



もう限界だった。


私はその場にしゃがみこみ、ひたすら泣いた。