「嫌なことって？」


そう美奈子ちゃんに聞くと、美奈子ちゃんは両手で机を叩いた。


「この間の土曜日にさ、高史と映画観に行ったんだけど、せっかくオシャレしたのに靴が合わないとか言ったのよ、あのチビ」


「ヒール履いて高史くんの身長抜かしちゃったんだ」
核心を七織ちゃんがつくと、美奈子ちゃんは今度は片手で机を叩いた。

「腹立つ」


「男のプライドってやつでしょ」


「ま、直ぐに新しい靴買わせたんだけどね」


「…高史くん、踏んだり蹴ったりね」


美奈子ちゃんのタタでは転ばない性格は好きだけど、今回は高史くんが少し可哀そうに思えた。



そんなこんなな会話のなか、私は一昨日の遊園地のことを思い出していた。