好奇心があるのは結構だが、必要以上に近づいてはダメだということ。
お客様と店員として出逢ったのだから、どんなに知りたいと思っても相手が話そうとしない以上、踏み込んではいけないと。


「仮に知ったとして、彩夏ちゃんは何かしてあげられる?」

「そんなの、内容によるじゃん。私にだって、何かできることがあるかもしれないし」


加納さんのために何かしてあげたいと思うでしょ。
既に彼女が口にした話から、恋愛絡みなんだと少し知っちゃったんだから。
自分に重ね合わせて考えてしまったりしたら、なにもせずにはいられないよ。


「それを、お節介ともいうんだよ?」

「もういい!」


この件に関しては、どんなに話しても平行線なんだと悟り。
一方的に話し出した話題を終焉させた。


なによ! 私は悪くないもん。
知りたいと思うことは、そんなにいけないこと?


むくれた顔つきのまま、その後の仕事をすることになり。
三好さんに対し「私は怒ってるんだから!」と悟ってほしい気持ちから、ワザとらしいほどに態度を悪くする。
話しかけられても、ニコリともせずに。

子供みたいと分かっていながら、止めることが出来ない。
というより、止めるきっかけを完全に失ってしまっていた。