知りたい事を教えてもらえないことで、腹が立ち。
ほぼほぼ捨て台詞のように、憎まれ口をたたいてしまった。

そんな私のこと等、気にも留めていないのか。
三好さんは落ち着いた物腰で口を開いた。


「そろそろ腕、離してくれるかな」

「ん?」


視線を落とした三好さんにつられるように目を落とすと、シャツを腕まくりしている三好さんの腕を「ぎゅっ」と掴んでいる自分の両手が目に入る。

見た目以上に筋肉質な腕。
ほのかに温かいぬくもりが、触れている両手に伝わってくる。


三好さんって、見た目の柔らかいイメージとは裏腹に、けっこう骨ばってる身体つきしているんだなぁ。
やだ!
考えてみたら、初めて三好さんに触れているんじゃない?
どさくさに紛れてのことだけど、嬉しい。
あ、でも。
私が掴んでいる部分だけ、少し赤くなってる。


「あぁ! ごめんなさい」


どれ程のバカ力で掴んでいたのか。
ハッと気づき、両手を三好さんからパッと離す。

自由の身になった三好さんは、私が掴んでいた腕辺りを軽く擦りながら言ったのだ。


「人にはね、他人に踏み込んでほしくないこともあるものなんだよ」

「分かってるよ。けど……」