心臓がうるさくて、言葉も出なくて
ただ固まるしかなくて
「あ、あの、ごめん…」
「なにが?」
「えっ… いや、なんか、乗っかっちゃってる…から」
「そうだね」
「そうだねって… あの、離して?」
すると翔くんは腰にまわしていた手を片方私の後頭部に置いた
「あ、あの?」
「お前さ、」
「ん?」
「男家に入れるの慣れてるの?」
「へ?」
「それともただのアホなの?」
「ア、アホ?!」
アホって何よ!ていうか!
「男の家に入れたのなんて初めてだし!」
「男と女が2人で一つ屋根の下ね… 何が起きるんだろ」
え…
男と女が一つ屋根の下って…
「何が起きるの?」
「は?」
「え、だから、何が起きるの?」
「マジで言ってる?」
「うん。だって翔くんは今日寝る場所がないからうちにいるだけでしょ?何も起こらないよ」
翔くんは はぁ〜…とため息をついて私をソファから(翔くんから?)降ろした
なんでため息?だって本当のことでしょ?
それとも翔くんは私の知らないことを知ってるのかな
ん〜、まぁいいか!
考えてもわからないことは考えない!!
「翔くん!ご飯何食べたい?」
「え、いいよ、コンビニ行くから」
「何言ってんの!コンビニじゃ栄養偏るでしょ!」
コンビニで夜ご飯を済ますのはあんまり良くない
それに、私が呼んだんだから、ご飯くらい作らないとね
「今日は、私が作ります」
「え、料理できるの?」
「出来るわ」
翔くん、私を馬鹿にしすぎじゃ…
でも、これが素なんだよね
ドS… 絵に書いたようにドS…
「あーもー、いい!私が勝手に作るから!」
何なのもう! せっかく作ってあげるって言ったのに!
出会ってからのあの素敵な王子様はどこなの!
まぁ、でもそのうちバレて女子も幻滅するはず…
