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『これでホームルームを終わる。帰って良いぞ~』
担任の声でみんな一斉に教室を出て行く。
「...はぁ」
大きくため息をつく。
あれから夏帆に遊園地のことを話しに行ったんだけど、
結局聞き入れてもらえず、私も一緒に行くことは決定事項になってしまった。
肝心の夏帆は部活に行っちゃったし・・・
「柚葉ちゃん、バイバーイっ」
「うんっ、バイバイっ」
こんなときでもクラスメイトに話しかけられたら
笑顔を忘れない私ってやっぱり天才・・・
って、こんなこと考えてる場合じゃなくて、
気付けば教室には私しかいなくなっていた。
『~~~♪』
私が設定しているケータイの着信音が鳴る。
誰からだろう・・・?知らない番号だ。
「もしもし、片山柚葉ですが、どちら様ですか?」
『あ、ねーちゃん?俺俺っ!』
俺俺って、あんたねぇ・・・
周りに誰もいないことを確認して学校モードから、
いつもの私に切り替える。
「何、どうしたの春輝」
電話の相手は片山春輝(かたやまはるき)。
私の弟で、ここから少し離れた男子校に通っている。
中学3年生で、バスケ部に入っているから今は部活中のはずなんだけど...
『今、部活の奴のケータイ借りてんだけどさ、俺のケータイ知らねぇ?』
「なに、もしかして失くしたの?」
春輝は昔からバカだからなぁ~
『いーや、違うと思う。たぶん家に忘れて来たんじゃねーかなって』
「じゃあ私と関係ないじゃん」
私も暇なわけじゃないんですが。
「だからさ、家帰ってから持って来てくんない?」