次の日、声をかけてくれる人たちにいつもと同じように笑顔で挨拶を返して、

 さっそく夏帆のところへ行く。


 「おはよう、夏帆」

 「おはよ、柚葉」

 「あのさ、」

 「遊園地の話だったら、聞かないわよ」


 あ、うん。それに関してはもう諦めました。


 「そうじゃなくてさ、うちのクラスにメガネかけた地味な男子っている?」

 「んー...。あ、もしかして北川くんじゃない?」

 
 夏帆は少し考えてから、そう言った。
 
 
 ・・・北川くん?

 
 夏帆の話によると、北川翔くんは清水くんの友達らしく、

 いつも静かで、誰かと話しているところなんて清水くんと以外は みたことがないらしい。
 
 
 つまり、北川くんが私のことを誰かに話そうとしても、
 それ以前に話す相手がいないということだ。


 うん。よかった、よかった。