「それにしても華穂ちゃん。デザインの勉強をしていたのに、どうして総務に?」
その質問が嫌だったから、この四年間、デザインの勉強をしていた過去をひた隠してきたのに。
あっさりと踏み込まれ、私は顔を引き攣らせた。
「……単純に、事務職しか就職先が見つからなかったからですよ」
「そうかな? 大手にこだわらず小さい会社も視野に入れて探せばいくらでも就職先がありそうだけれど」
「……大手がよかったんです。安心したかったんですよ」
「ふーん」
御堂さんはたいして興味のないような声を上げて、その質問を終わらせた。
けれど、私がなにかを隠して口ごもる様子に気づいていたようだ。
ちらりと横目で私を見て、クリアファイルをトントンと自分の肩に当てながら、軽く言った。
「やってみるかい?」
「……え?」
「黒木くん。君の担当している案件で、なにか簡単に出来そうなもの、華穂ちゃんに回してやって」
「いいんですか!?」黒木さんが目を見開く。
「待ってください、私、デザインしてたのは学生のときだけで、四年も前ですし、出来ませんよ!?」
「お遊びの感覚でいいから作ってごらんよ。ダメでも黒木くんが責任を持って直してくれるから大丈夫」
黒木さんが泣きそうな目で御堂さんを見つめるも、スルー。
「華穂ちゃんのセンス、楽しみにしてるね」
そう言ってひらひらと手を振り、自分のデスクへと戻っていってしまった。
今さらデザインをやれだなんて。しかもプロでもなんでもない、ブランク大ありの私が……
どうしよう。困ったことになってしまった。
その質問が嫌だったから、この四年間、デザインの勉強をしていた過去をひた隠してきたのに。
あっさりと踏み込まれ、私は顔を引き攣らせた。
「……単純に、事務職しか就職先が見つからなかったからですよ」
「そうかな? 大手にこだわらず小さい会社も視野に入れて探せばいくらでも就職先がありそうだけれど」
「……大手がよかったんです。安心したかったんですよ」
「ふーん」
御堂さんはたいして興味のないような声を上げて、その質問を終わらせた。
けれど、私がなにかを隠して口ごもる様子に気づいていたようだ。
ちらりと横目で私を見て、クリアファイルをトントンと自分の肩に当てながら、軽く言った。
「やってみるかい?」
「……え?」
「黒木くん。君の担当している案件で、なにか簡単に出来そうなもの、華穂ちゃんに回してやって」
「いいんですか!?」黒木さんが目を見開く。
「待ってください、私、デザインしてたのは学生のときだけで、四年も前ですし、出来ませんよ!?」
「お遊びの感覚でいいから作ってごらんよ。ダメでも黒木くんが責任を持って直してくれるから大丈夫」
黒木さんが泣きそうな目で御堂さんを見つめるも、スルー。
「華穂ちゃんのセンス、楽しみにしてるね」
そう言ってひらひらと手を振り、自分のデスクへと戻っていってしまった。
今さらデザインをやれだなんて。しかもプロでもなんでもない、ブランク大ありの私が……
どうしよう。困ったことになってしまった。



