一緒に救急車へ乗り込んで、付き添って行った病院で。

医師からの診断結果はそこまで重篤なものではなく、出血は酷いものの神経に達するほどの深い傷ではないとのこと。
とはいえ、右の手のひらから手首にかけて包帯をグルグル巻きで固定され『三週間は動かさないように』と念を押されてしまった。

これでは日常生活すらままならない――心配する私をよそに、相変わらず御堂さんは「大丈夫大丈夫」なんて気楽に言って笑うのだった。

やってきた警察官から事情を聞かれいくつか質問を受けている間に、ホテル最上階のスイートルームに置きっぱなしにしていた服や荷物を陣さんが病院まで届けてくれた。
その上、私を家に送り届けるための車まで調達してきてくれたと言う。

どうやら御堂さんが手を回してくれていたようなのだが、結果的に怪我をした彼を病院に置いて私ひとりだけ家に帰される形となってしまった。

御堂さんは落ち着いたら連絡すると言ってくれたけれど、一日経っても連絡はなく。
やきもきした気持ちを抱えたまま、携帯の着信を確認してはため息をつくという行動を一日に何度も繰り返した。

彼から着信があったのは、さらに丸一日経ってからのこと。
その上――

『ごめん。仕事の話じゃないんだけど、かまわない?』

第一声、それ?
確かに私は仕事の電話しか受けつけませんと言ったかもしれないけれど――

「さすがの私も、あんなことがあった直後に仕事以外の電話をかけてくるなとは言いません……」

『だって華穂ちゃん、すぐ怒るからさー』

私をどれだけ冷徹な女だと思っているのだろう。
ましてやその怪我は私を庇ったせい――私が負わせたようなものなのに。