「俺が君を利用したのは事実だ。言いわけのしようもない。それから、君が言った『うそつき』ってのも、その通りだよ。俺は、目的のためならいくらでも嘘をつく」
私の頭の上で、御堂さんが静かに独白した。
「……今度こそ本当に、君に嫌われてしまったかもしれない。それでも仕方がないとわかっている。でも、ひとつだけ聞いてほしい」
身体を離した彼は、いつになく真剣な表情をしていた。
吸い込まれそうなほどに深い漆黒の瞳を私へ向けて、真っ直ぐに言う。
「君への気持ちに嘘をついたことは、一度もない」
彼の言葉が頭の中に響き渡り、私の胸に灯をともす。
本当に……? だって、適当なこと、たくさん言ってたよね?
私のことを口説こうとしたのだって、からかってただけだったんでしょう?
不安になって、何度も何度も彼の瞳に問いかけてしまう。
答えを知りたがる私の視線と、なにかを求める彼の視線がぶつかって、まるでこの世界に私と彼のふたりだけしか存在しないみたいに思えてくる。
もう、彼以外、なんの情報も頭の中に入ってこない。
「行こう」
御堂さんが私へ手を差し出した。
「最上階の、あの部屋へ戻ろう」
こくりと頷き、恐る恐る手を重ねる。
一歩引き導かれるごとに、じわりじわりと鼓動が高鳴っていく。
戻ろうって、もちろん荷物を取りにって意味だよね……?
それとも、もっと他に……?
――今日は帰さない――
彼の言葉が頭の中でリフレインした。
私の頭の上で、御堂さんが静かに独白した。
「……今度こそ本当に、君に嫌われてしまったかもしれない。それでも仕方がないとわかっている。でも、ひとつだけ聞いてほしい」
身体を離した彼は、いつになく真剣な表情をしていた。
吸い込まれそうなほどに深い漆黒の瞳を私へ向けて、真っ直ぐに言う。
「君への気持ちに嘘をついたことは、一度もない」
彼の言葉が頭の中に響き渡り、私の胸に灯をともす。
本当に……? だって、適当なこと、たくさん言ってたよね?
私のことを口説こうとしたのだって、からかってただけだったんでしょう?
不安になって、何度も何度も彼の瞳に問いかけてしまう。
答えを知りたがる私の視線と、なにかを求める彼の視線がぶつかって、まるでこの世界に私と彼のふたりだけしか存在しないみたいに思えてくる。
もう、彼以外、なんの情報も頭の中に入ってこない。
「行こう」
御堂さんが私へ手を差し出した。
「最上階の、あの部屋へ戻ろう」
こくりと頷き、恐る恐る手を重ねる。
一歩引き導かれるごとに、じわりじわりと鼓動が高鳴っていく。
戻ろうって、もちろん荷物を取りにって意味だよね……?
それとも、もっと他に……?
――今日は帰さない――
彼の言葉が頭の中でリフレインした。



