「次は、なにがほしい?」

試すような笑みを浮かべる。もしも素直に夕緋がほしいと言ったら、くれるのだろうか。

「なにをくれますか?」

私が問いかけると、彼は首もとのネクタイに手をかけ結び目を緩め、するりと解いた。
シャツのボタンを外すと、はだけた隙間から程よい筋肉のついた素肌が覗く。

「華穂のほしいもの、全部あげるよ。華穂は俺になにをくれる?」

そう色っぽく微笑んで、シャツをすべて脱ぎ捨てる。
今度は私の服に手をかけその答えを待っている。

「私は……」

「ん?」

急かす夕緋の瞳は、私の全部をほしがっている。恥ずかしくなって、シーツを手繰り寄せ身体に巻いた。

花びらがわっと散って、辺りを艶やかに埋め尽くす。
その幻想的な情景に現実味が薄れ、普段では絶対に言わないような言葉がほろりと唇から漏れた。

「……私の全部、夕緋にあげます」

あとから頬が熱くなってしまった。けれど夕緋は満足げに微笑む。

「その言葉がほしかったんだ」

それを契機に、夕緋は私を強く手繰り寄せた。
一枚一枚、私が身につけているものを捨て去っていく。
すべてが晒されてしまわないよう、シーツの影に隠れながら彼の求めに応じた。

シルクの滑らかさが素肌に絡みついて、その上に彼の逞しい身体があって、勝手に鼓動がどくどくと早くなっていく。