再び場を沈黙が包む。
お父様と伯母様、それぞれの思惑を抱えた視線が御堂さんに降り注いでいる。
御堂さんはわずかに伏せ、しばらく瞳を閉じて黙った。
ごくりと、空気を飲み込んだ御堂さんの喉仏が大きく上下する。
彼は今、ふたつの自由を天秤にかけているのかもしれない。
デザイン会社社長としての地位を捨て、御堂家の跡取りとして拘束を受け入れるか。
仕事の選択権を得る代わりに、千里さんと婚約をするか。
伯母様の協力を得て問題を解決するためには、どちらかを選ばなければならない。
けれど、私は――。
「待ってください……」
私のか細い声に、全員がハッとこちらを振り向いた。
その圧迫感に一瞬言葉を失いつつも、負けないように必死に口を開く。
「そもそも、私と御堂さんがお別れをすればこの問題は終わりです。犯人はそれを望んでいるのですから。御堂さんがどちらかを選ぶ必要なんてなくなります」
「華穂!」
御堂さんが私の両肩を掴みながら声を荒げる。
「勝手に自己完結しないでくれ! 俺が今一番大切なのは――」
「やめてください!」
これ以上、彼を追い詰めたくなくて、慌ててその言葉の先を塞いだ。
どちらを選ぶにしろ、私のせいで御堂さんの未来が縛られるなんて嫌だ。
彼が必死に築き上げてきた居場所が、この先の未来が、私を守るために奪われてしまうなんて。
そんなの見ていられるわけがない。
お父様と伯母様、それぞれの思惑を抱えた視線が御堂さんに降り注いでいる。
御堂さんはわずかに伏せ、しばらく瞳を閉じて黙った。
ごくりと、空気を飲み込んだ御堂さんの喉仏が大きく上下する。
彼は今、ふたつの自由を天秤にかけているのかもしれない。
デザイン会社社長としての地位を捨て、御堂家の跡取りとして拘束を受け入れるか。
仕事の選択権を得る代わりに、千里さんと婚約をするか。
伯母様の協力を得て問題を解決するためには、どちらかを選ばなければならない。
けれど、私は――。
「待ってください……」
私のか細い声に、全員がハッとこちらを振り向いた。
その圧迫感に一瞬言葉を失いつつも、負けないように必死に口を開く。
「そもそも、私と御堂さんがお別れをすればこの問題は終わりです。犯人はそれを望んでいるのですから。御堂さんがどちらかを選ぶ必要なんてなくなります」
「華穂!」
御堂さんが私の両肩を掴みながら声を荒げる。
「勝手に自己完結しないでくれ! 俺が今一番大切なのは――」
「やめてください!」
これ以上、彼を追い詰めたくなくて、慌ててその言葉の先を塞いだ。
どちらを選ぶにしろ、私のせいで御堂さんの未来が縛られるなんて嫌だ。
彼が必死に築き上げてきた居場所が、この先の未来が、私を守るために奪われてしまうなんて。
そんなの見ていられるわけがない。



