そこで、と槙村はいう。

「どうにか先生のお力で何とか説き伏せてもらいたい」

と、えらく上からの物言いをしてきたのである。

内心岸島は腹が立ったが、山本は落ち着き払った顔のまま、

「槙村さん、それはあなたが商人の立場になれば、おのずから答は導き出されるかと思います」

「商人の立場…なるほど、つまり商人たちにも多少は利を得させよ、と」

「左様にございます」

山本はうなずく。

「これは妙案、早速やってみましょう」

槙村は足早に戻って行く。

「…岸島さん、これがそれがしのやり方よ」

どうやら山本は、ただ顧問に就いた訳ではなさそうである。