明治四年。 ときの帝が東京城とあらためられた江戸城に入り、奠都の詔が出てほどない時期である。 三条大橋に、岸島芳太郎が立ったのは未の刻を回った時分であった。 「あまり変わってないな」 というのが偽らざるところであるが、変わったといえば、かつて京都守護職の屋敷であった場所に府庁が設けられ、そこには新たに知事という耳慣れないあるじがいるということであった。 岸島は、まず探さなければならない人があった。 原田左之助の妻おまさと、娘のおしげである。