再会なんて望んでませんが




「それにしても、あんたら映えるねぇ衣装が」


智花が何やら機材をセットしながら言う。


「馬子にも衣装、でしょ?」


「馬子だなんてそんなご謙遜を。
もうすっごいカワイイよ、遥」


「はいはい、ありがとうございますぅ」


智花と会話していると、ぐっと手首が引かれた。


「うわっ」


「ねぇ、その格好で歩いてきたの?
まだ人が多い校舎を?」


瀬川の眉間には深い深い溝が刻まれている。


「そうだけど…?
っていうかそれしかなくない?」


「ほんとバカじゃないの?
せめて上から羽織れよ。下になんか履けよ」


失礼な物言いに、私はムッとした。


それは、私の衣装姿が不快だということか。


「ごめんなさいねぇ見苦しいもの見せて!」


「遥あんた、完全に履き違えてるわよ。
大変ねぇ、鈍チンのナイト様も」


ほんとだよ、と瀬川は頷いた。話が理解できないのは私だけで、それが面白くない。


「まぁとにかく帰りは、何か羽織って行きなさいな」


「俺も更衣室までついてく」


「いいよ、1人で行けるから」


ニヤニヤと笑った智花がこちらを振り向く。


「まぁついていって貰いなよ」


奈々も智花もどうして瀬川の味方につくのか。
不満だ。女友達まで瀬川に取られかけている気さえする。


「ほら、そんな顔しないの。撮影始めるわよ」


智花が三脚の方へ向かい私と瀬川に背を向けると、掴まれていた手首がぐっと引き寄せられた。


「そんなに俺に襲われたいの?
可愛すぎるんだけど、その格好」


耳元に顔を寄せた瀬川が囁く。


「…なっ」


「あら?あらあら?
遥ちゃん、なんだか顔が真っ赤よ?」


「な、なんかこの教室あっつくない!?」


あははは、と作り笑いをする私に、智花がまた顔をニヤつかせる。


「そう?少し寒いくらいだけど」


「わ、私暑がりだからさぁ、はははっ」


動揺しまくっている私とは対照的に、瀬川はしれっとこちらを見ている。


「見るなバカ!」


「演技下手すぎ。
こんなんじゃ主役は務まらないよ?」


「分かってるよ!」