「なんか…、すっごい悪目立ちしてない?」
教室へ向かうために廊下を歩くと、あちらこちらから視線を感じる。
ごめんなさい気持ち悪いですよね、と心の中では謝りながら、なるべく早足で廊下を歩く。
「ちょっと遥、大股で歩かないで。
スリットから足が全部出てエロすぎ」
「エロっ……!はい…」
あけすけな奈々の物言いには慣れたと思っていたが、自分のこととなると話は別だ。
「悪目立ちなんてしてないわよ。むしろ良い意味で目立ってる。これは良い宣伝になるわね」
「宣伝って…」
やっとの事で教室のドアを開けると、クラス中の視線がこちらを向いた。
「な、なに!?」
こちらを向く無数の目に竦みあがる。
「ほら男子ー。いつも男扱いしてる女子が超絶カワイイからってあんまり見ないのー。
怖がってるでしょー?」
奈々の言葉で視線はあちこちに逃げるが、それでもチラチラとこちらを見る視線を感じる。
その中に、こちらを凝視する人が1人。
「……っ」
それは、華美な装飾が施された衣装を着こなす、瀬川だった。
普段降ろされている前髪はかき上げられ、普段は見えないおでこが覗いている。
本物の王子様のようで、色気が尋常じゃなくて、思わず何秒か見つめてしまう。
「うわぁ遥可愛いねー!」
そう言う智花にありがとう、と苦笑いを返す。
「はいじゃあ、みんなは帰った帰った!」
パン!と手を叩いて、 智花が声を張った。
「みんながいると瀬川くんと遥もやりにくいでしょ!写真なら後でクラスラインに載っけるから!」
いや載っけるなよ!という私の声には、誰も反応しない。まぁいい、どうせメインになるのは瀬川だ。
ちぇ、と舌打ちしながら、みんなが帰っていく。正直ありがたい。この衣装、恥ずかしくて仕方がないのだ。
「じゃあ私たちは他の衣装作ってるから。
何かあったら声かけて!」
奈々と莉央はそう言って教室を出て行った。
智花と瀬川と私の3人が教室に残る。

