拓海は、瀬川とすっかり仲良くなった。
別にそこまでは構わない。(構わなくないけど)
私には奈々が居る。
「遥も行こうぜー」
「私はトイレ行ってから行くわー、先行ってて」
でもその2人に、私も加えようとするのはやめてほしい。
移動教室に誘われる度に、適当な理由をつけて断るのも疲れてきた。
それにその度に、瀬川からの視線が突き刺さるのだ。
そんな顔しないでよ、私が悪者みたいじゃん。
「もったいない、柳田と移動すれば瀬川くんとお近づきになれるのに」
奈々からの怪訝な視線に、私は口を尖らせた。
「そんなの全く望んでないし」
じゃあね、と教科書を持って立ち上がる。
奈々は理系で、私と拓海、それから瀬川は文系だ。文理が分かれる授業では、必然的にどちらかが移動になる。
1人寂しく廊下を歩く。
別にいいけど。元々連れションとかするタイプじゃないし、1人で帰れるタイプだし。
「拓海のばーか…」
それでもやっぱり、側に拓海が居ないのは、寂しかったんだ。

