昨日はカナコが騒がしくてごめんね?

サトミの手を取り、バス停まで一緒に歩く。

ほんの数分の時間だけど、すごく幸せな時間。

「カナコちゃん、すごくかわいいね。私もあんな妹が欲しかったな」

横にいる俺の顔を見上げながら、高橋さんが笑っている。

「でも、勉強にならなかったから、次は違うところにしよう」

少し待っていると遅れることなく到着したバス。

朝は混んでいてイスに座れることはないけど、それでもつぶされるほどの混雑ではないので手すりにつかまれるところまで進んで落ち着く。

「じゃあ、明日は私の部屋でどう?」

今日は塾があるからという高橋さんの言葉に、そうだねと頷く。

「コウヘイ君の家へは、試験が終わってからまたお邪魔してもいいかしら?」

カナコちゃんとも遊びたいしなんてやさしいことを言ってくれる高橋さん。

カナコのことも大切にしてもらえて、なんだか高橋さんでよかったと思った。

「ありがとう」

うれしくて、お礼を言うと、ふふっと笑いながら握っていた手に力がこもった。