妹の恋人[完]

その日は何となく授業にも集中できなくて、お昼休みに隣のA組をのぞきに行ってしまった。

入口から中の様子をうかがっていると、近くにいた女子に声をかけられてしまい、あわててしまった。

「誰か探しているの？」

「あ、あの高橋さんを呼んでほしいんだけど・・・」

窓際の席で、友達とお弁当を食べている高橋さんを指さして、呼んでもらうことにした。

しまったな、まだ食べている途中だったのかな。

もう少し後でこればよかったのかも。

そんなことを考えていると席から俺の姿を確認した高橋さんがあわてて俺のもとへ走ってきてくれた。

「浅野君、どうしたの？」

俺がA組へ来たのは初めてで、なんとなくほかの生徒の視線を感じてしまう。

「ごめんね、まだ食事中だった？」

「ううん、ちょうど終わって話をしていたところだから平気だよ」

ちょっと歩こうか、天気もいいし。そんな言い訳みたいなことしか言えなくて、それでもそうだねと高橋さんは付いてきてくれた。

「こうしてお話しするのも久しぶりだね」

校舎を出て体育館へ続く渡り廊下で立ち止まり話をすることにした俺達。

外のやさしい風がとても気持ちいい。

「バスケット部、大変そうだけど頑張ってる？」