妹の恋人[完]

出勤時間は、大学へ行く時間とほぼ同じで。

朝、バスケットをやっていたおかげで、早い時間に家を出ることになれていて。

降りる駅は違うけど、大学へ通学していた電車と同じ電車に揺られて出社することができた。

乗りなれた電車だったので、変な緊張感もなくて。

定時よりも20分早く会社に着き、少しだけゆっくりする時間もあった。

今日から研修のため、新入社員は会議室に集まるように言われていた。

指定された会議室へノックしてから入ると、俺以外にすでに来ている人もいて。

見たことのない人も何人かいるようで、先週までのバイトを支社で過ごしていた人もいたようだった。

空いている椅子に座り、目の前にある社内報などを手に取りながら時間をつぶしていると、先週まで一緒だったメンバーも揃ってきて。

「おはよう」

お互い挨拶を交わしながらも、やはり今日から入社ということで皆が緊張していた。

俺も、どこか落ち着かない感じで。

手にした冊子をめくりながらも、ほとんど頭には入ってこなくて。

「おはようございます!」

ばん!と勢いよく開かれた扉を見ると、沢村さんと見たことのない男性が一緒に入ってきて。

「おはようございます!」

皆もあわてて立ち上がり、挨拶をする。