妹の恋人[完]

「おにいちゃんは一緒に行かないの?」

涙目になりながら、カナコが俺をみてきて。

そんな目で見られると、俺も辛い。

「俺は・・・ここに残るよ」

母さんの言うとおり、俺は一人でもなんとでもなると思う。

住むところもこの家があるし、もともと会社も家から通うつもりだった。

家事も・・・これから覚えればいいし。

「おにいちゃん一人でご飯作れるの?お洗濯は?掃除は?」

突然大きな声で、カナコが話しだして。

目からは大粒の涙がこぼれだしていた。

「いやよ、おにいちゃんと離れるなんて!」

両手で顔を覆い、大きな声で泣き出してしまった。

しばらくそんなカナコを見つめていたけど、俺は立ち上がりカナコの肩を抱くとカナコの部屋へと連れて行った。

明かりをつけて部屋に入り、カナコをゆっくりイスに座らせた。

「飲み物取ってこようか?」