妹の恋人[完]

窓際の席から、青い新車が駐車場に入ってくるのが見えて。

「わ、あの車かっこいいねぇ」

カナコも、車を見て目を輝かせていた。

「あの車いいなぁ。お父さん、あの車に変えないかなぁ?」

「はは。父さんはスポーツカーは選ばないと思うけど」

まさか、これから自分があの車に乗って帰るなんて夢にも思っていないようで。

車から降りてきた担当者の顔を見て、え?と声に出したカナコが俺の方を見た。

「え、おにいちゃん、今日は何しに来たの?」

「あの車を取りに来たんだよ」

すべての手続きは終わっていて、支払いも澄んでいて。

ナビなどの設定がすべて終わった車は、ピカピカに磨かれていてとてもきれいだった。

「うそー!」

店のなかに響き渡るような声をだし、思わず自分で自分の口元を覆いながらも、カナコは興奮を隠せないようで。

俺はそんなカナコを見て笑いながら、そばへやってきた担当者と話をしながら最後の手続きをした。

「では、お車へご案内しますね」

外へ出て、車の説明を受けながらも、さっそく助手席に座り込んで、ボックスを開けたりして。

「妹さんにも気に入っていただけたようですね」

担当者も笑いをこらえるのに必死そうだった。