妹の恋人[完]

バスケットにアツシもなぜだかすごく興味を示したけど、どうやら明日はアツシがサッカーサークルの当番で早く行かなければならないらしく。

「アツシは当番でしょ~」

カヨちゃんにくぎを刺されてうなだれていた。

「俺さ、高校1年までずっとバスケットと勉強だけだったんだ」

大学で仲良くなったこのメンバーには、まだ詳しく話したことがなかったけど。

それは、話すタイミングがなかっただけで。

なんとなく、聞いてほしいななんて思っい、事故でけかをしたこと、今だに左手は以前とまったく同じようには使えないこと。

でも、日常生活にはなんら問題もなく、不自由なく生活できるようになったこと。

そんな怪我が理由で、怖くて今までずっとバスケットができなかったことを話した。

楽しい内容じゃないから、皆に話すのもどうかとも思ったけど。

「そっか・・・。全く気がつかなかったよ」

俺の左手をそっと握りしめたカヨちゃん。

アツシなんて、なぜだが涙を流していて。

「コウヘイ、俺やっぱ明日バスケット見に行くわ」

なんて言い出す始末で。